小松空港の上空からの風景

昨今、地方空港はインバウンドの玄関口として存在感を増している。2018年に於いて、主要6空港(成田、羽田、中部、大阪、関西、神戸)以外の地方空港(57空港)に入国した訪日客は前年比11.7%増の758万人と入国者数全体の25.2%に達した。乗客数は2008年と比べると、何と5.5倍(小松空港は4.3倍、倍率順位17位)になっている。
地方空港に於ける訪日客数のランキング(2018年)は、1位が福岡(241.5万人)、2位が那覇(175.7万人)、3位が新千歳(169.5万人)と上位3位が断トツで、4位以降は17万人未満である。日本海側の空港ではトップの小松が13位(8.7万人)、以下富山18位(4.6万人)、新潟は20位(4.2万人)、米子21位(3.9万人)、秋田28位(0.8万人)、山形30位(0.7万人)と続く。

小松空港は、2014年の北陸新幹線金沢開業以降、ドル箱の羽田便の利用者を北陸新幹線に奪われ、対策の1つとして国際線に活路を見いだしている。ただ、国際線の利用者数は相手国の政治情勢等の変化に影響を受け易いリスクがあり、今年は日韓対立、香港デモ及び台湾ストの三重苦に見舞われ、小松空港に於いも数少ない国際線定期便の影響が心配された。

以下に、小松空港国際線定期便の近況を述べる。

上海便(中国東方航空)

小松空港に着陸した中国東方航空の上海便(バックは航空自衛隊小松基地)

上海便は2004年に週2便で始まり、定期便として2005年に週3便、2008年に週4便、今年(2019年)9月に路線枠制限が撤廃され、また搭乗率も好調なことから10月から週6便(水曜日以外運航)となっている。
今の冬ダイヤの利用状況次第では、来年の夏ダイヤでデーリー化(週7便)を実現できるかもしれない。リップサービスもあるかもしれないが、中国東方航空の董波(とうは)副社長もデーリー化に対し前向きな発言をしている。
現在、東方航空が日本の地方空港とデーリー化しているのは太平洋側の広島、岡山及び静岡しかなく、また日本海側の路線は小松以外に富山と新潟のみであり、どちらも週2便である。
デーリー化が実現できれば、日本海側の他の空港に比べ一段と利便性が向上することになり、「小松空港は日本海側の玄関口」と言われるようになるかもしれない。

台北便(エバー航空とタイガーエア台湾)

小松空港に着陸するエバー航空の台北便(バックは航空自衛隊小松基地のF-15)

エバー航空の台北便は、2008年に週2便で始まり、現在は木、日曜を除いた週5便が運航している。また、昨年(2018年)1月から、LCC(格安航空会社)のタイガーエア台湾が週2便(日曜日と木曜日)を運航している。これにより2社でデーリー化している。
エバー航空の昨年度の搭乗率は85.3%で過去最高の12万8773人が利用し、本年度は6、7月に客室乗務員のストライキがあったものの、それでも4月~11月の搭乗率は75.8%と好調を維持し(国際線は、搭乗率70%台で好調とされる)、また新たな機材の充実を進めたため、来年4月からこれまで運航していなかった木曜と日曜も運航することが決定し、エバー航空のみでデーリー化を実現することになった。
これにより、台北便の木曜と日曜はエバー航空とタイガーエア台湾を合わせれば、1日2便運航することになる。この体制を継続できるかは来年春以降の搭乗率次第である。

ソウル便(大韓航空)

小松空港に着陸した大韓航空のソウル便(バックは航空自衛隊小松基地)

ソウル便は1979年に始まり小松空港国際線として最も古い。現在は水曜、金曜及び日曜の週3便が運航している。今年4月~7月の搭乗率は72.4%と好調であった。しかし、ホワイト国(優遇対処国)から排除に伴う日韓関係の悪化により、搭乗率は70%を切り、8月が68.1%、9月が56.4%と下落し、9月29日から11月16日まで運休となった。その以降は週3便に戻り11月の搭乗率は69.7%であった。
一方、富山ーソウル便はLCCのエアソウルが運航していたが、同様に運休となり、現時点再開の目途はたっていなく、再開は難しいようだ。従来の富山の利生者が少なからず小松空港に流れていると思われる。

香港便(キャセイパシフィック航空)

小松空港に着陸したキャセイパシフィック航空の香港便(バックは航空自衛隊小松基地)

小松空港では夏ダイヤの定期便として今年4月に香港便が週2便で就航した。

夏ダイヤに於ける月別搭乗率は次のとおり推移した。
  •  4月:84.1%
  •  5月:82.8%
  •  6月:85.1%
  •  7月:73.5%
  •  8月:70.5%
  •  9月:66.2%
  • 10月:76.3%

雪の大谷

4月~6月の平均搭乗率は84.0%と高水準を維持した。その要因として、6月下旬まで外国人に人気のある立山黒部アルペンルート「雪の大谷」を見ることができるからである。そのため終了した7月以降は80%を割り、更に9月以降は「逃亡犯条例」改正案を巡る大規模デモが相次いだことにより搭乗率低下を招いた。

とは言うものの、夏ダイヤ期間の搭乗率は77.1%と好調な値であり、大規模デモのあおりを受けたことを考慮すれば善戦したと考える。

本年度の冬ダイヤの運航は見送られたが、今年の夏ダイヤの運航は好調だったことから、来年の夏ダイヤの継続運航、更に通年運航へ進展行くことを期待する。
ただ、他に懸念がない訳でもない。上海便とソウル便は日本人の割合が4割強を維持しているが、香港便だけでなく台北便にも言えることであるが、日本人の割合が極端に少なく2割を切る。国際線の安定運航にはインバウンドとアウトバウンド双方の利用が重要であることを考えると、現状のアンバランスな状態も課題である。

バンコク便(タイ国際航空)

小松空港に着陸したタイ国際航空のバンコク便(バックは航空自衛隊小松基地)

バンコクのチャーター便は、1991年から始まり、約30便が運航している。タイ国際空港への定期便要請は2006年から続いている。石川県を訪れるタイ旅行者の数は2015年が9,340人であったのに対し、2018年が1万7,352人と倍増していることもあり、タイ国際航空も前向きに検討し出したようだ。