中距離防空用地対空ミサイル・システム(中SAM)

小松空港と滑走路を共有している航空自衛隊小松基地で、先日航空祭(2012)が行われ、基地防空火器が展示してあった。
「火器」とは聞き慣れない名称であるが、火薬によって銃弾や砲弾を発射する武器の総称のことである。

展示してあった基地防空火器は、次のとおりである。

20mm対空機関砲(VADS-I改)

基地防空の最終段階を担当し、低空から侵入する航空機等に対して射撃を行う。目標の自動追随を可能にするため、カメラを備えた対空機関砲である。また、公道を走行する機能を有する。
スペックは次のとおり。
  • 有効射程:1,200m
  • 発射速度:高速3,000発/分、低速1,000発/分
  • 弾薬搭載量:約500発
  • 牽引速度:72km/時
VADS-I改
20mm対空機関砲(VADS-I改)
※空砲射撃
※小松基地航空祭にて

なお、「VADS」は「ヴァッツ」と読み、「Valcan Air Defense System」の略称。また「Valcan」は砲の名称。

81式短距離地対空誘導弾(短SAM)

ジャッキとステップを取り付けた73式大型トラックの後部に、射撃管制装置を搭載した車両と発射装置を搭載した車両の二台で構成される。

射撃統制装置
射撃統制装置(通称「FCS」)は、目標の捜索、識別、捕捉及び追随して目標の位置情報を元に要撃計算を行い、発射装置の制御及び誘導弾の発射を行う。

FCS
車体全体(短SAMの射撃統制装置) 統制装置本体(短SAMの射撃統制装置)
※小松基地航空祭にて
発射装置
発射装置(通称「ランチャー:LCH」)は、誘導弾を搭載し、射撃統制装置(FCS)又は目視照準具(OT)からの指令を基づき目標の予想命中点へ向けて誘導弾を発射する。

LCH
車体前方(短SAMの発射装置) 車体後方(短SAMの発射装置)
※小松基地航空祭にて
短SAMの実弾射撃訓練

なお、「81式」は、「はちいちしき」と読み、「短SAM」は「たんさむ」と読む

03式中距離地対空誘導弾(中SAM)

陸上自衛隊が運用する純国産の中距離防空用地対空ミサイル・システムである。本ページ先頭の図が示すように、FCPからの発射指令に基づき、全方位同時多目標対処の飛翔体発射が可能な装置であり、垂直状態で飛翔体を発射する機能を有する。

中SAM
中SAMのミサイル発射瞬間 03式中距離地対空誘導弾(中SAM)
※ミサイル発射の瞬間
※小松基地航空祭にて
中SAMの訓練

なお、「03式」は、「まるさんしき」と読む。